家庭菜園を行うためのベースの土が出来上がったら、次は土のpH(土壌酸度)を測定してみましょう。
はじめて家庭菜園をする方が野菜作りを失敗する一番多い理由として、栽培前にpHを測定していないということが上げられます。
と言う私も、最初のころはpHという言葉すら知らずに失敗しました。。
野菜にはそれぞれ栽培に適した「土の酸度」というものがあり、植え付け・種撒き前にpHを整えておく必要があります。
土のpHは測定キットがあればすぐに測れるものですから、植え付け前には必ず測定を行いましょう。
「pH」はピーエイチ、もしくはペーハーと呼びます。
酸性なのかアルカリ性なのかを示す単位で、水や土壌の酸度を計測する際に使用されます。
数値は1~14という数で表され、数字が低いほど酸性となり「7」が中性、数字が高いほどアルカリ性を示します。
日本では酸性雨などの影響により、手の加わっていない土は自然と酸性に傾く傾向があります。
野菜にはそれぞれ適した酸度というのが存在し、良好な生育を保つためには、栽培する野菜に適したpHへの調整が必要になります。(多くの場合は5~6の弱酸性)
適切なpHから大きくかけ離れた土で栽培してしまうと、上手く育たない、枯れる、実がつかないなど、様々な失敗の要因となります。
新築住宅の庭の土は、空き地だった頃から建築途中、さらには完成から入居までという長い時間酸性雨にさらされた可能性があり、かなりの確率で酸性に振れていると思いますので、しっかりと測定をしてみて酸性ならば土を調整しなくてはなりません。
私もそうでしたが、野菜栽培を始めてする方が野菜作りに失敗する原因は、ほとんどの場合土壌酸度を計測していないことが原因となります。
土壌の酸度を計測する方法は、キットがあれば簡単に知ることができます。
今回はこちらのpH試験液の使い方をご紹介します。
pH試験液は500円程度で手に入り数十回は使えます。
紙で計るタイプよりはるかに分かりやすいのでオススメです。
まずは空き容器の半分くらいを目安に、phを測りたい場所の土を入れます。
今回はプリンの空き容器を使いました。
ペットボトルを半分にした物でもやりやすいかもしれません。
そこに水を入れ、よくかき混ぜます。
その後、土が沈むまでしばらく待ちましょう。
土が沈んだら、付属の容器に上澄みだけを汲みます。
ここに試験液を垂らします。
説明書にも書いてある通り、試験液を2滴を入れます。
1滴でも3滴でも正確に測れません、2滴です。
pH試験液を入れるとすぐに色の変化が起き、すぐに結果がわかります。
写真では水の色が暗くて分かりにくいですが、7~8を示しています。
中性~ややアルカリ性ということがわかりました。
現時点で栽培したい野菜の適正pHではなかった場合このままでは上手く育たないので、土の調整を行う必要があります。
例えばトマトを育てようと思うなら適正pHは5.5~6。
少しpHを下げなくてはいけません。
土の調整方法については、この後ご紹介します。
もしプロ仕様の酸度測定器をお探しなら、こちらのおすすめの酸度計!シンワの土壌酸度計の使い方をご覧ください。
上記でご紹介した試験液タイプの測定方法の他にも、土の酸度を計る道具はいくつかあります。
こちらのiPower 3 in 1という酸度計は、土に差し込むだけで土壌のpH、照度、水分量の計測ができる優れもの。
ただ、土に差し込んでから10分という時間が必要なこと、ph8以上のアルカリ性は計測できないという欠点があります。
家庭菜園レベルであればあまり問題ありませんが、使い分けすれば便利かもしれません。
土作りの前に土の状態を知るには、幅広く図れる上記の試験液で。
作物の植え付け前、もしくは栽培中にpHを確認する際はVENSMILE 3 in 1というような感じで使い分けができます。
iPower3in1の使い方
こちらのように針を深く差して、10分間そのまま待ちます。
10分後、スイッチを切り替えながらph、照度、水分量を確認します。
こちらは雨が降った日の土壌水分量。
真ん中の1~10の目盛りで確認します。
青のライン(8以上)だと水分量が多すぎ、緑のラインにおさまっていると適切な状態です。
水はけが良い土であれば、どんなに雨が降っても青のラインまでいくことはないでしょう。
正確に動いているか乾いた土でも実験。
赤いラインであるドライで針が止まっています。
水やりが必要な状態を示しています。
それでも数値が1ではないということは、見た目よりも水分が残っているんですね。
pHの測定結果がこちら。
7のあたりを示しているので、「中性」となります。
この結果のように「中性~ややアルカリ」という状態であれば少しだけ酸性によせるのもいいのですが、日本に降る酸性雨の影響や追肥による酸度の変化によって酸性に動きますので、これを計算にいれて何もしないという選択もありです。
ただ数値が8を超えるようなアルカリ性であれば、土を酸性に調整してあげる必要があります。
土を酸性にする場合は「ピートモス」を土に混ぜてあげると効果的。
ピートモスはコケなどから生成された酸性の土で、土壌改良材としても広く利用されます。
特にフミン酸を多く配合したピートモスであれば、優れた保湿性をもち植物の根張りを促進し、土壌の団粒化もしてくれるなど、良いことづくめのピートモスとなります。
このフミン酸が配合されたピートモスがスーパーミックスAというもの。
ドイツ産の黒ピートモスは発芽、根張り、株張り、花付きすべてが改善されますので、ぜひ使用してみていただきたい土の1つです。
アルカリ性を中和するために使う場合は、このスーパーミックスAと通常のピートモスを混ぜて畑にすきこむと良いでしょう。
逆に数値が5以下と酸性が強い場合は、アルカリ性に寄せてあげる必要があります。
土をアルカリ性にするのに使用されるのは「石灰」。
石灰はアルカリ性なので、酸性の土に混ぜると酸度が中和され中性に戻ります。
ただ石灰と言ってもいくつかの種類がありますので、状況に応じて使い分けましょう。
まずは酸度調整に使われる「消石灰」。
消石灰はアルカリ性が強く、酸性を強力に中和し土壌も消毒してくれます。
ただその強さゆえ、2週間程度は作物の植え付けはできなくなります。
1番最初の土作りのタイミングや、住宅の庭土を畑に変える際、また冬の栽培休止中に撒くと良いでしょう。
次に「苦土(くど)石灰」。
消石灰よりもアルカリ性が弱く、優しい効き目となります。
苦土石灰にはカルシウムとマグネシウムが含まれているので、古くなったの土の栄養補給にも最適です。
特に粒状苦土石灰は、風の強い日や雨の日にでも撒くことができ、粉が舞い散らないので家庭菜園向きと言えるかと思います。
最後に「有機石灰」。
カキ殻などが主成分で、アルカリ性はかなり弱いものの、栽培直前や栽培中にも撒くことができます。
植え付け後に酸性を中和したい時や、有機栽培を目指す方にオススメ。
ここまで土の酸度となるpHの重要性と、その調整方法をご紹介しました。
ここまでくれば土の準備・調整は完了となります。
それでは、いよいよ好きな野菜の栽培を始めてみましょう!
こちらの野菜別メニューから好きな野菜を選んで栽培方法を確認してみて下さい。