野菜作りに欠かすことのできない土作り。
お庭に畑を持っている方は、堆肥や有機肥料を入れて土作りをしていると思いますが、プランターや鉢植えで野菜を作る方は買ってきた土を使うことが多いと思います。
プランター栽培の方は、野菜作りだけでなく観賞用の花を育てられていることも多いですよね。
そこで今回は、市販の花用の土(培養土)でも野菜は育つのか実験してみました。
今回使用するのは、サカタのタネから販売されている「花三昧」を使用します。
また比較対象として、同じくサカタのタネが販売する「野菜三昧」も使用して効果を検証してみたいと思います。
この2つの違いは、花三昧の方が「窒素・リン酸・カリ」が多く配合されているという点です。
一般的に野菜を栽培する際は、窒素が多すぎると「つるぼけ」と言って茎や葉が多くなりすぎたり、病害虫の被害を受けやすいという効果があり、リン酸は開花や結実、カリは根張りなどに関係しているため、栽培する品種に応じて肥料分を調整するのが基本です。
また根の成長を促すために、最初は肥料を少なめにして後から肥料を与えるというやり方もあり、野菜作りにはそれぞれの品種に応じた肥料のやり方があります。
一方、観賞用などの花を栽培する場合は「花を咲かせること」が目的となりますから、花用の培養土ではバランスを取りつつも全体的に養分を多く配合するというのが普通と言えるでしょう。
このことから、栄養分の多く入った花三昧の方が、野菜(植物)が勢い良く育つということが考えられます。
しかし何か弊害が起きる可能性もありますので、実際に実験をして、効果を確認してみましょう。
今回の「花用の土」と「野菜用の土」の比較実験で育てるのは、冬野菜の代表格でもある「白菜」です。
葉もの野菜で、そこまで病害虫に強いとも言えない野菜となります。
まずは2つのポットにそれぞれの土を入れて、育苗をするところから始めていきます。
左が野菜用、右が花用の「花三昧」となります。
育苗は環境が変わらないように、簡易ハウスを使用して行います。
暑すぎる夏、寒い冬の育苗には最適な家庭用ハウスです。
そして種を撒いてから2日後。
発芽のタイミングはほぼ同時となりました。
それから1週間後、本葉を確認。
やや花用の土の方が葉が大きく、成長が早い気がします。
さらに1週間、発芽から2週間目の様子です。
明らかに花用の土の方が成長が早く、差が付いてきました。
その後間引きを行い1本にしました。
そこから1週間が経過した状態がこちら。
1つ1つの葉の大きさは、花用の土の方が大きく育っています。
やはり窒素の影響があるのでしょうか。
ある程度大きくなったところで育苗を終え、今度は鉢上げを行います。
引き続き、野菜用の土を使っているのが左、花用の土を使っているのが右の鉢となります。
鉢植えにしてから3日後の様子。
鉢上げを行っても、成長は花用の土の方が良い感じです。
それから1週間が経過。
花用の土はグングンと大きくなっています。
早くも中央で結球しそうな感じもあります。
鉢上げする段階でも養分の多い花用の土を使っていますので、この結果は当然と言えば当然なのかもしれません。
実験の結果から、葉もの野菜の栽培であれば花用の土の方がよく育つということが分かりました。
ただし、今回育てたのは窒素が多くても問題の少ない白菜(葉もの)だったので上手くいったのだと思います。
実を付ける野菜(トマトやナス)などの場合は、やはり野菜用の土を使ってタイミングよく追肥(後から与える肥料)を行っていく方が、病気にならなかったり品質の良い実が収穫できると思います。
ですから、花用の土で野菜を育てる場合は、実を付けるものではなく、葉もの野菜や根菜類を中心に行った方が良いのかもしれません。
今回使用した花三昧や、花用培養土はこちら。