今回はさつまいもの育て方についてご紹介していきたいと思います。
一般的にさつまいもはつる苗から育てることが多い野菜ですが、なかなか家庭菜園では苗を入手することが難しいです。
それはさつまいもの苗が手に入るホームセンターが少ない事と、販売していても束売りで高額なこと、また店頭に並ぶのが5月~6月頃のため、家庭菜園では収穫時期が後ろへずれ込みやすくなることがあげられます。
ですから、できれば苗は自分で育てて、無駄の無いように必要な分だけ確保したいところ。
ということで今回は、さつまいもの苗の作り方からご紹介します。
さつまいもはじゃがいも同様、種芋から育てていきます。
ではじゃがいもと同様に植え付け専用の種芋が売られているのかと言うと、そういうことでもありません。
さつまいもはスーパーで売られている乾燥したさつまいもでも苗として育てることができるので、種芋というものは販売されていないと思います。
なぜウイルス対策をしなくても種芋として使用できてしまうのか、正確なところは私にも不明ですが、さつまいもがじゃがいもに比べ病気にかかりにくかったり、生命力旺盛なのが関係しているのかもしれません。
主に園芸店などで取り扱われているのは、冒頭でも触れた「さつまいものつる苗」というものです。
つる苗とは成長したさつまいもの茎を切り取ったもので、このつる苗を土に植えるとさつまいもを育てることができるものです。
それではこのさつまいもの苗作りをご紹介していきましょう。
まずは一番手間がなく簡単な教科書通りの方法から。
時期としては2月後半~3月前半(関東地方)、さつまいもをスーパーなどで購入して用意します。
こちらは比較的入手しやすい紅あずま。
関東で多く栽培されている品種です。
最初にさつまいもの上下を確認しましょう。
意外にもさつまいもには上と下があって、上の部分の方が芽が出やすく、下の方が根が出やすいとされています。
さつまいもの上下を確認するには、水を張った大きめのボウルに入れると分かります。
このように傾きが見られ、僅かに沈む方が下、浮かぶ方が上となります。
ただ乾燥具合や保存方法などによっても差異が出ると思いますので、確実な方法とは言えませんが、目安にはなると思います。
もし間違えたとしても、さつまいもの下部からは絶対に芽が出ないということはありませんので安心してください。
さつまいもの芽をよく見てみると、このように縦に並んでいることが多いのが特徴となります。
ここから根が発生し、いずれかの芽からは茎や葉が伸びてきます。
どこに芽が生えるのかは見た目で判断することはできず、あくまでさつまいもの上の方から芽が出る確率が高いということになります。
家庭菜園で必要な苗は1本~2本だと思いますので、このまま丸々一本の状態で使用しても問題ありませんし、上部1/2だけを使っても構いません。
上だけ使う場合は、半分は食事で使うことができますね。
さつまいもの上下が確認できたら、芽が出やすくなるように処理をしましょう。
約40度のお湯に浸けて、30分~40分程度置いておきます。
途中で温度が下がらないように差し湯をしたり、お湯自体を入れ替えたりしたほうが良い結果になりやすいです。
これでさつまいも本体の準備は完了。
続いてさつまいもの苗を育てるための土と環境の準備を行います。
苗作りを行う2月~3月は、まだまだ気温が低く普通のプランターではさつまいもの発芽が期待できません。
そこで使用するのが「発泡スチロール」。
発泡スチロールは保温性が高く土を入れても壊れることがないので、様々な野菜作りにも適しています。
深さはさつまいもが埋まる30cm程度が理想で、魚より野菜の入っていたものの方が臭わなくて良いと思います。
まず初めに、この発泡スチロールの底へ腐葉土を入れていきましょう。
腐葉土には適度な隙間があり空気層を作ってくれるので、地面から冷気が伝わりずらくなり、発泡スチロール内の保温性がアップします。
そして上層の土は、畑の土と堆肥を混ぜたもの。
肥料などは加えていないほうが良いです。
そしてさつまいもを寝かせるようにして植えましょう。
しっかりと土を被せたら、たっぷりの水を与え、乾燥しないようにポリ袋を被せていきます。
発泡スチロールを丸ごと包んであげると、さらに保温性が増します。
最後にポリ袋に空気穴を開けたら準備完了。
空気穴は、発芽するまでは少なめにしておきましょう。
管理はなるべく日の当たる温かい場所で、
内部はこのように結露しているぐらいが調度良い環境です。
土が乾燥しないように、適度に水を与えて管理してください。
これで30日~40日程度で発芽します。(気温が低かったり、管理温度が低いともっとかかることもあります)
一応確認のために、1週間ほど経過したところで芋を掘り返してみました。
表面からはまったく変化が見られないので心配していましたが、ご覧のようにしっかりと根が伸び始めていました。
ただ、当然ながら途中で掘り起こしたりするのは良いことではありません。
皆さまはご注意ください。
その後、2週間、3週間と待ってみても土表面に変化は見られなかったのですが、さつまいもを植えてから約1ヶ月後、やっと発芽を確認することができました。
地表に少しだけ芽が見えています。
一度発芽するとさつまいもの成長は早く、発芽した翌日には発芽がはっきりとわかるくらいに。
3日目になると、何枚もの葉が確認できるまでになりました。
あとは、このまま葉が7~8枚になるまで育てていきます。
ここまでの流れが、一般的なさつまいもの苗作りのやり方となります。
しかし、葉が揃うまで育つのに40日~50日。
ちょっと時間がかかりすぎる気がするさつまいもの苗作り。
ということで、続いてはもう少し早く苗を作るための芽だし作業をご紹介したいと思います。
さつまいもの上下の確認方法までは同じ工程となります。
上記をご参考下さい。
次に、さつまいもの上部1/3を、芽の入るように切り落とします。
そして切り口を下にして、水を入れたトレイなどに入れておきます。
このような感じになります。
さらに空間湿度を保つためにビニール袋でくるみ、陽のあたる温かい室内に置いておきましょう。
さつまいもは水に触れたり湿度が高くなると初根・発芽するので、水を切らさないよう注意して管理します。
2日に1回は水を取り替えてあげると良いと思います。
そして数日後、早くも根が確認できるようになります。
さつまいもは水の浸かっている場所から根が発生しやすいです。
そして5日後。
早くも芽が膨らみだしている場所を確認。
ここが発芽するポイントとなります。
2日後、さらに膨みは大きくなって、
3日後には完全に発芽と分かる状態になりました。
その後、順調に成長すると1週間でここまで成長します。
こうなれば芽だし作業は終了。
上記でご紹介した発泡スチロールへ植え付けを行いましょう。
伸びた根を傷つけないよう優しく土になじませ、成長した芽の部分が顔を出すくらいに土を被せます。
これでさつまいもの植え付けは完了となります。
翌日には、さらなる成長を確認することができます。
この方法であれば、上記でご紹介したような従来の方法より、苗作りの期間を約1/3~半分程度に短縮することができます。
しかも、ただ芽が出るのを待つよりも成長が目に見えるので、見ていても楽しいですよ。
さつまいもの苗作りが遅れてしまった方、早く済ませたい方は参考にしてみて下さい。
次回は苗作りの完成とさつまいもの苗の植え方をご紹介します。