家庭菜園でメロンを育てていて「実が大きくならない」「急に育たなくなった」などと心配になることがありませんか?
せっかく受粉が成功し、収穫までもう少しというところで実が大きくならないと焦ってしまいますよね。
家庭菜園においてメロン栽培の難易度は高め。
実が大きくいならない原因は1つではないかもしれませんが、実例を見ながら原因を考えてみましょう。
露地栽培で2つ同時期に人工授粉を行ったプリンスメロンがあります。
こちらAのメロンと、
Bのメロン。
この2つの成長の違いを観察してみます。
まず受粉から約10日後のメロンを比べてみましょう。
こちらがA。
こちらがBのメロン。
両方とも問題なく順調に大きくなっています。
さらに1週間後のAのメロン。
そしてBのメロン。
違いがでてきましたね。
たった1週間で大きさに差が出てきました。
Bは順調に大きくなりましたが、Aのメロンの大きさが変わっていません。
なぜこのような差が生まれたのでしょうか。
2つのメロンの違いを探ってみると…
Bのメロンには、実を付けたあとも茎が伸び、葉ができています。
一方、Aのメロンは…
2枚の葉ができただけで、その後の成長が止まっています。
この2つの違いから考えると、どうやらメロンの実が大きくならないのは、『実の後にできた葉の数』に原因がありそうです。
メロンの成長の仕方は分かりやすく、段階的な成長をします。
初期段階では茎が伸び葉の枚数を増やすことを専念します。
そして一定数の葉がつくと、先行して雄花が開花。
先に雄花が咲くことで、いつ雌花が咲いても受粉ができるように準備しているのですね。
子づるや孫づるが伸び株が大きくなると、実をつける準備が整ったということになり雌花が開花、受粉へと進んでいきます。
そして受粉が成功すると実の肥大が開始する訳ですが、この時、養分はすべて実の方へ流れるように変わり葉と茎の成長はストップします。
次第に他の雌花の付きや株全体の成長が悪くなり、新たな葉は発生しにくくなっていきます。
つまり早い段階で人工授粉を行ってしまうと、実に養分を供給するための葉の枚数が足らなくなり小さい実になったり、実が大きくならなかったりします。
ですからメロンを受粉させる位置(摘果せず育てる位置)は、葉の状況や実の位置が大切となるのです。
メロンに限らず、植物の葉は光合成を行うために存在しています。
この光合成は「光」をエネルギーとして、根から吸い上げた水や栄養と、葉で吸収する二酸化炭素で養分を合成します。
そして出来た養分は、子孫を残すため花の生成や実へと使われる訳です。
葉から養分が実に送られることと、上記のメロンが大きくならなかった結果を照らし合わせると、1つの仮説がたてられます。
メロンの実は、株全体にある葉から養分を受け取っているのではなく、メロンの実から「主にその先にある葉から養分を得ている」ということになるのではないでしょうか。
もちろん根からの養分の吸収もしていますが、光合成から作られる養分についてはこの仮説も的外れではない気がします。
(根から吸収する栄養が無くなっても実は大きくなりませんので、受粉が確認できたあとには、追肥(後から与える肥料)も忘れずに行ってください。)
この仮説で言えば、メロンの実を大きくするための答えは「着果した先の葉を大切に育てる」ということになります。
「実ができたから」と早々と摘心をせずに、収穫の時まで孫づるの葉が10枚前後残るように栽培をしていきましょう。
もしくは、成長している「つる」の先端で人工授粉を行うのではなく、十分に成長した孫づるの『中腹にできる雌花』へ人工授粉を行うことで、「その先の葉」を十分に確保できることになり、メロンも大きく育てることができるのではないでしょうか。
当然ながら葉が重要な役割を持っているということは、光合成をするための光も大切になりますから、日照時間の問題による「天候が原因でメロンの実が大きくならない」ということも考えられます。
特に梅雨の間は曇りや雨が続きますから大きくなりにくい時期かもしれません。
そういう場合は、植物を活性化し光合成の効率を高めるHB-101という肥料を試してみてください。
梅雨の間も弱らずに、力強く成長してくれるでしょう。
またこれらの原因以外にも、実が成り過ぎて根からの養分が分散しているということも考えれらます。
メロンは1株から1~2個がおすすめ。
どんなにしっかり育てても3個が限界でしょう。
実の付けすぎにも十分注意してください。
次回はいよいよ、プリンスメロンの収穫時期と収穫についてご紹介します。