家庭菜園を行う上で絶対に必要となる屋外の水道。
新築住宅や建売などの場合、地下水栓(散水栓)にホースを繋いで水やりをしている方も多いのではないでしょうか?
我が家も庭の水源は地下に埋設された散水栓で、水やりの度、蓋を開けて水道をひねってから水やりをしています。
でもこれから長い家庭菜園生活。
ずっとこれでは面相くさいと思い、一念発起。
散水栓を立水栓に変える工事を自分で、いわゆるDIYでやってみました。
DIYで立水栓を作るのにあたり、まずは必要になるものを市場調査です。
手軽に調べられるネット通販で金額を調査してみると、本格的な住宅メーカーが提供するエクステリア用の立水栓+水栓パンのセットは、意外にもとても高額であることに驚かされました。
2万から高いものだと7、8万するものまで。
これではDIYでやる意味があまりありません。
ただ既製品の「立水栓のみ」であれば、Amazonの送料込みで3000円程度で売られていました。
住宅メーカーのエクステリア用と比べればデザインはちょっとアレなのかもしれませんが、水を通すだけという中の構造に違いはないはず。
圧倒的な安さから、立水栓に関しては既製品のこちらで決めました。
(一応、立水栓をレンガなどで自作している人も見かけたのですが、どれもひどい出来だったので立水栓は購入しようと決めました。)
次は水栓パン単体の価格を見ていきます。
ある程度広さがあって、バケツや鉢を置いても問題ないものを探します。
一応同じカクダイで探してみたものの、小さくても1万円ぐらいはしてしまう感じ。
大きさやデザインも自分の庭に合っているか微妙です…。
悩んだ結果、水栓パンは購入を見送り。
モルタルとタイルを使って自作することに決めました。
よって購入したものは立水栓のみ。
あとの細かいものは、ご紹介しながらのほうが分かりやすいと思いますので、順を追ってご紹介します。
こちらのページを見ながら立水栓の作業をされる方は、こちらで紹介している商品と同じ商品を使って作業されるとわかりやすいと思います。
最初に行う作業は、散水ボックスの解体(取り外し)です。
散水栓の周りが土であれば、周りの土を掘って取り出すだけで済みますが、我が家は駐車場の隅に散水栓があり、周りがコンクリートで固められているのでちょっと大変。
工具の取扱に自信がある方なら電動ハンマーを使うのが一番早く、2、30分でコンクリートをハツることが可能です。
電動ハンマーを自分で用意しなくても、工具を貸してくれるホームセンターもあるのですが、消耗品のビット(先っぽ)は自分で購入する必要があります。
なので結果、そこそこ高くついてしまいます。
それなりのDIYerでグラインダーが使えるレベルなら、グラインダーでコンクリートをカットしましょう。
グラインダーはAmazonでも結構安く売っています。
グラインダーを使用するは、防刃手袋もしくは皮の手袋を忘れずに!
布だと軍手は巻きこまれてしまうので、絶対に使用してはいけません。
それでもグラインダーで散水ボックスの周りを四角く切っただけでは、駐車場のコンクリートは分厚く剥がすことはできません。
グラインダーでいくつか線を引いたり、格子状に切り目を入れたうえで、ハンマーやチスタガネで砕いていきます。
結構時間はかかりますが、一番費用を抑えられて、かつ現実的なやり方と言えます。
チスタガネとはこれ。
意外と先端が消耗するので、しっかりしたものを選んでください。
散水栓を外したいけどグラインダーを使うのが怖い…と言う方は、散水栓がある「その位置で」立水栓を作るようにしましょう。
周りのコンクリートをハツることができたら、散水ボックスを外します。
もし周りの土が固まってしまって抜けない時は、散水ボックスを破壊してしまっても良いと思います。
私はこんな感じで破壊して取り出しました。
再利用もしないですし、ゴミを捨てる時にどうせ小さくしなくてはいけないので、どうなっても構いません。
塩ビ管を通す通路も確保して、コンクリートのハツリと散水ボックスの取り外しが完了しました。
散水ボックスが外れたら、次は立水栓の位置と、塩ビ管の導線を決めていきます。
ここはかなり重要なポイントです。
新設する立水栓の利便性や家庭菜園からの距離。
また排水させる方法(後述)、ホースに繋ぐのであればホース本体の置き場なども想定し、散水栓から立水栓までのパイプの伸ばし方を計算します。
当然ですが、パイプを伸ばす途中で障害物があるようならそれの回避方法も検討しなくてはなりません。
様々な要因を考慮し立水栓の位置を決めたら、散水栓から目的の場所までの土を掘り、塩ビ管の道を作っていきます。
塩ビ管を通す道の用意ができたら、次は塩ビ管を組み立てていく作業です。
「水道工事って大変そう…」と思うかもしれませんが、実は立水栓をDIYする中では一番簡単な作業です。
多少日曜大工ができれば、素人でも心配ありません。
塩ビ管の組み立ては、塩ビ管と、塩ビ管同しを繋げる継手、蛇口、これら3つで構成されています。
どんなものかというのは、作業手順に沿ってご紹介していきますので、「これが必要なんだ」というくらいで読み進めてください。
・ホームセンターでの各商品の値段
塩ビ管は2mくらいで、200円~400円
継手は種類によって50円~200円
継手の接着剤は200円~300円
事前に計画した道の距離を測り、必要になる塩ビ管の長さと継手の数を数えてホームセンターで購入します。
継手は、ちょっと多めに用意しても良いかもしれません。
蛇口は大きいホームセンターに行くか、ネットでの購入となりますが、ネットでも店舗で買っても金額に差は出にくいです。
まずは塩ビ管を必要な長さに切りそろえていきましょう。
鋸で切れるので、特にパイプソーなどを買い揃える必要はありません。
バリと呼ばれる切断面に残った突起は取り除くようにしましょう。
さらに先端を滑らかにヤスリがけをすると良いと言われているのですが、何のためか、どんな効果があるのかは不明ですが、一応やっておきます。
こちらの塩ビは紺色をしていますが、HIと呼ばれ浸食や耐候性に優れた塩ビとなります。
上でご紹介したよく見かけるグレーの塩ビは、特別な機能性は持たない塩ビ管で、価格的には安く手に入ります。
どちらを使用するかは、既存のパイプを確認して決めると良いかと思います。
それでは塩ビの接着方法です。
切れた塩ビ管と、継手両方に専用の接着剤を塗りくっつけます。
まずは塩ビ管の外側をぐるぐるっと。
次に継手の中にグルグルっと。
すぐに差し込んで2、30秒ほど押さえておけばしっかりとくっつきます。
これを続けて、散水栓から立水栓予定場所まで塩ビ管を通していきましょう。
まだ散水栓と繋げる必要はありません。
ちなみに私は、立水栓の手前で継手のチーズを使って水路を分岐。
立水栓の奥に、散水栓を移設します。
この理由は、立水栓にホースを繋げてしまうとその場で水道を使うことができなくなり、せっかく立水栓にしても手を洗ったりすることができなくなるためです。
(家庭菜園が目的なので、ホースは常設予定のため。)
また水栓パンの意味もなくなってしまうので、水路を分岐させ、ホースを取り付ける用として今使っている既存の散水栓を再利用することとしました。
次は立水栓の組み立てです。
まずは冒頭でご紹介した立水栓本体と蛇口を用意。
このまま立水栓に蛇口をはめても、わずかな隙間から水漏れが起きてしまいます。
ではどうするかと言うと、水漏れを防ぐためにシールテープというものを使用します。
立水栓をDIYしなければ、人生で出会わない商品かもしれません(笑)。
シールテープはそれ自体に粘着力のある物ではなく、ゴムやシリコンのような材質で、テープ同しが重なることで強い摩擦が発生し動かなくなり、かつ弾力があるので、対象の隙間を埋める役割をしてくれるものです。
こちらに蛇口と、蛇口のジョイントを用意しました。
既製品の立水栓を使用する場合は本体にジョイントが付いていますので、用意する必要はありません。
今回はサンプルで用意しています。
このままネジを合わせて回しても、ネジの山と谷の間に隙間ができてしまいます。
この隙間を埋めるべく、蛇口側にあたるオスのネジにシールテープをグルグルと5周~7周程度巻いていきます。
ネジ山が現れるように、谷を爪でなぞります。
これで再度ネジを合わしてまわしていくと、ネジ山と谷が密着。
隙間も無くなり、水漏れの心配が無くなるのです。
既製品の立水栓には、本体の上の穴にシールテープを巻き付けた蛇口を直接回し入れていきます。
蛇口がついたら、立水栓本体と塩ビ管を繋げる作業です。
立水栓の下側の穴は水を通す穴となり、塩ビ管をくっつけるために開いている穴です。
ここにネジ山が付いた継手を、同じようにシールテープを巻いて立水栓にはめていきます。
ただ短い継手を手で回し入れていくのは不可能なので、レンチで回せるようになっているボルトの形をした継手を選ぶようにして下さい。
レンチで奥までしっかりと差し込みます。
ここまで出来たら、あとは塩ビ管とこの継手を接着剤でくっつけるだけです。
次に排水について作業していきましょう。
立水栓を設置する位置を決める時に排水についても考えておいたと思いますが、私の場合は雨水桝の近くに立水栓を設置して、排水は雨水桝に流すことにしました。
右上に見えるのが、雨樋から集めた雨水が流れる配管。
この配管が雨水桝の中に貫通して繋がっていて、雨水が雨水桝の中に直接落ちる構造になっているのが分かります。
これと同じ方法を使って、水栓の排水を雨水桝に流そうと思います。
最初に、雨水桝の腹に穴を開けていきます。
塩ビ管を雨水桝にあて、穴を空けるサイズを鉛筆で印をつけます。
あとはそのラインにそって穴を開けていきます。
手持ちにホールソーが無ければ、下記の写真のようにラインに沿ってドリルで沢山の穴を開け、最後にチスで叩けば穴があきます。
排水パイプは貫通させるので、少しくらい穴が大きくなってしまっても問題ありません。
こんな感じで突き刺さりました。
排水パイプに関してはどの太さでも、どの塩ビでも良いと思いますが、一番安いグレーの塩ビ管を使用しました。
あとは継手を使って、想定する排水パンの高さまで塩ビ管を持っていきます。
ちなみに写真の塩ビは、パイプの最後に異種サイズのパイプを繋げる継手をくっつけ排水口を幅広にし、その上に排水用受皿を乗せた様子です。
これはイメージするために乗せただけで、受け皿については水栓パンを作るときに用意できれば問題ありません。
最後は、散水栓と塩ビ管を繋げる作業となります。
ここからは断水して作業する必要があるので、作業する時間は計画的に行いましょう。
トイレなども済ませておいた方が良いです。
まず水道メーター内部にあるバルブで水道を止めます。
写真右のバルブを時計回りに回していけば栓ができ、水を止めることができます。
次に水抜き。
蛇口を全開にして、余計な水を流し切ります。
水が止まったら、散水栓の蛇口本体を外しましょう。
本体を握って反時計回りに回すと外れるはずです。(蛇口取付の逆)
ただ我が家の場合は、固すぎてどうしても散水栓の蛇口が外れなかったので、蛇口の下の方で塩ビ管を切断することにしました。
この散水栓は上記でも述べたように再利用します。
蛇口を外すか、塩ビ管を切って既存の塩ビ管をむき出しにしたら、散水栓近くまで引いていた新しい塩ビ管を継手で繋げます。
ここも接着剤で繋げるだけ、簡単な作業です。
1時間ほど時間を空けて、接着剤が乾燥するのを待ったら通水試験をしてみましょう。
再度水道メーターのバルブを回して、今度は栓を開けます。
蛇口から水が出てくれば成功!
出てこなかったらどこかで水漏れしていることになります…。
蛇口をひねってみると…
見事に水が通りました。
立水栓の奥に作った散水栓も、ちゃんと水が来ていました!
ただここで安心してはいけません。
散水栓から立水栓まで繋げた塩ビ管を良く見て、漏水していないか確認をしましょう。
漏水していれば10分ほどで土が濡れてくるはずです。
また水漏れしやすいのは、立水栓本体の下の繋ぎ目。
よく目を凝らして、水が漏れていないか確認して下さい。
晴れて水漏れが無いと確認できれば、塩ビ管の上に土を盛って、元に戻していきましょう。
最後は穴の開いた元散水栓の埋め戻し作業です。
冒頭でも述べたとおり、我が家では散水栓が駐車場の延長線上にあるので、もしかしたら車で乗り上げることもあるかもしれません。
ですから、しっかりと埋め戻しをしておきます。
まずは散水栓があった場所に土を戻し、周りのコンクリートのラインまで土で埋めていきます。
土にしっかり圧力をかけ、必要であれば水をまいて土をしめていきましょう。
その次にコンクリートを投入。
コンクリートとはモルタル(セメントと砂)に砂利を混ぜたものです。
セメントと砂と砂利はホームセンターで購入できますし、水を混ぜればコンクリートになるインスタントコンクリートというものもあります。
一度に地上まで入れても良いのですが、綺麗に仕上げるには熟練した経験が必要になるので、今回はセメントで内部を固め、表面をモルタルで仕上げる方法をとりました。
コンクリートは地上表面から1cm下が目安です。
このまま表面の水が引くのを待ちます。
水が引いたら表面をモルタルで仕上げていきます。
仕上げ用のモルタルは細目の川砂とセメントをしっかりと混ぜることで作ることができます。
かき混ぜる必要はありません。
左右に山を作りながら、寿司飯(シャリ)を切るようにすると、均一に混ざります。
3、4回繰り返しましょう。
綺麗に混ざったら水を投入。
スコップで表面を均せるくらいが目安です。
チャプチャプではなく、タプタプといった感じ。
これをコンクリートの上に流し、コテで整地します。
素人DIYですから、コテではなく表面に角材を滑らせて均す感じでも良いと思います。
モルタルが乾いて水気が無くなってきたら、最後にもう一度コテで整地して完了。
2週間もすれば、白くなって目立たなくなってきます。
これで散水栓から立水栓のDIYが完成。
庭の中にホースが通って、かなり便利になりました!
・立水栓のDIYにかかった費用
立水栓本体 3000円
HI継手エルボ 68円×10個
HI継手チーズ 158円
継手(ボルト) 98円
横水栓(蛇口)1,300円
シールテープ 150円
HIパイプ2m 298円
塩ビ管2m 188円
HI接着剤 198円
モルタル用船(ツールボックスで代用) 815円
洗い砂 316円
洗い砂細目 316円
セメント 498円
合計 8015円
※グラインダーやコテ、その他は手持ちのものを利用。
最後に冒頭でふれた水栓パンについて。
こちらはいたって単純。
コンパネで型枠を作って、モルタルを流し込んで作りました。
モルタルの色が汚かったので、底面にはタイルと目地、その他はペンキで塗装して仕上げました。
もし型枠を作るのが面倒なら、プラスチックケースなどを型として利用してしまえば簡単かもしれません。
これで立水栓へのDIYはすべて終了です。
とても1日で終わる作業ではありませんが、それぞれの作業はとても簡単で高度な技術は必要ありません。
ゆっくりと着実に作業を進めれば必ずできますので、ぜひ散水栓を卒業して、快適な家庭菜園ライフを送っていただければと思います。